【研究室配属に悩む理系大学院生へ】博士学生の私が勧める選び方~②「業績」編~

理系の大学生となったからには、多くの場合研究室に配属され、研究活動を行い、その結果を卒業論文として形にすることで、学位をもらうことができます。

ほとんどの学生の場合、研究室に配属されるのは初めての経験であり、何を基準に選べばいいか、どんな研究室が自分に適しているのかなどわからないことだらけだと思います。

この記事では、もうすぐ研究室に配属される大学生を対象に、博士課程に進学した私から見た後悔しない研究室の選び方をご紹介したいと思います。

かなりボリュームのある内容になると思いますので、合計 3 つの記事に分けて記載したいと思いますので、他の 2 つもご覧ください。(一部内容に重複がありますので、一度いずれかの記事で確認していたら読み飛ばしていただいて構いません。)

初めに、私の大学の場合は 3 回生の末にどこの研究室に配属されるかが決定し、4 回生の 4 月からその研究室での活動がスタートします。

以降に何か月前や何月ごろという表現が出てきたら、この前提に従って書いていることをご承知ください。

私がすすめる基準としては、

  • 研究内容
  • 業績
  • 運営方針

の 4 つに大きく分類できます。

この記事では、業績について書きたいと思います。

業績

業績とは、論文や学会発表、特許、共同研究実績、受賞などです。

特に、教授以外の人(准教授や講師、助教など)のそれらを見ると、研究室のアクティブさがなんとなくわかるような気もします。

業績をポイントにするというのは意外に思われた人もおられるかと思いますが、特にある人にとっては重要な要素となります。

ある人とは、、、「博士を目指す学生」「日本学生支援機構の第一種奨学金を借りている人」です。

博士の学位取得の要件に、査読付き学術論文の投稿が決められています。(必要数は大学により異なります。)

つまり、普段から論文が研究室から出ていることが、博士の学位を取るために重要になります。(もちろん本人の頑張り次第ではありますが、論文が出る環境にいることはそれだけで大きな価値を持つと思っています。)

博士課程に進学すると、学振や様々な研究費助成などへ応募する機会が多くなると思いますが、それらは基本的に業績勝負になるのが大半です。

そういった戦いを有利に進めるためにも、業績が積める研究室を選ぶメリットは大きいと思います。

また、定期的に論文にできる環境を先生が作ってくれているのであれば、精神安定にもいいのではないでしょうか。

研究室の先生によっては、インパクトのある研究結果しか論文にできないところもあるようなので、そういったところでは博士号を取るのは難しくなると予想できます。(中には、オーバードクター:規定期間(3 年)以上たっても博士号を取れないこと が当たり前という研究室もあるようです。)

もちろんそういういばらの道を進んで、研究の世界で活躍されている方がたくさんいますし、覚悟を持って、突き進むのは素直にかっこいいなと思いますが。

また、博士の学生だけでなく、修士の学生で日本学生支援機構の第一種奨学金を借りている人にも業績はかなり大きなメリットです。

卒業時に、業績優秀者には貸与奨学金の全額返還免除や半額返還免除されるという制度があります。この業績には、論文や特許、学会発表や賞などが含まれていますが、やはり論文の力は大きいです。

私自身、卒業時には論文 2 報(主:1、共:1)といくつか学会発表をしていたので、半額免除を勝ち取ることができました。

この業績優秀者の制度は同じ大学内での競争となるので、かなりチャンスは大きいと思います。

少し話は変わりますが、研究室の予算という面でも業績は重要になってきます。

上記の博士を目指す学生のところでも書きましたが、当然学生だけでなく、先生方が研究費助成へ応募するときにも業績が見られます。

つまり、業績が出ていないところは研究費の獲得が難しくなるということと相関があると思います。(例外はあるかもです。)

研究費があるところとないところでは、研究室生活は大きく変わります。

もちろんない研究室でも身につく力はありますが、それ以上に研究費があるところでは、いろんな学会に参加できたり、海外にも行くことができるかもしれません。(研究室の方針によりますが。)

また、必要な試薬が買えなかったりすると、それを合成するための時間が必要となったり、そもそも実験を進めることが困難になることもあります。(例えば、お金があれば、同位体ラベルされた試薬を使うことができて、反応機構の解明に役立てるかもしれないとか。)

これらのことから、研究室を選ぶ際に業績は重要な 1 つの要素となることは納得していただけるかと思います。

ただし、注意点としては、新たに立ち上げられたばかりの研究室では十分に機器が揃っていなかったり、立ち上げに時間がかかるために業績が出ていないことがあります。

一方で、教授が前の所属先で行っていた研究の引継ぎ(つまりは前のボスの下での仕事)があるから論文が多く出ているように見えるだけで、その研究室で立ち上げたテーマではあまり成果が出ていないため、引継ぎテーマが終わると、途端に論文が出なくなるパターンもあります。

また、研究分野によって論文が出にくい・出やすいところもありますので、一概に業績で決めることが良いというわけではないことはご理解ください。

最後に

業績→研究室の予算に関わることであるため、基本的に全ての学生に関係する項目であり、研究室選びのポイントになってくる。特に「博士に進学する学生」と「日本学生支援機構の第一種奨学金を借りている人」は、学位を取るため業績により様々な奨励金獲得のため奨学金の返還免除のため、この項目は重要視した方がよい。

というのが、私の研究室選びにおける業績の考え方になります。

論文を出したり、研究助成金を獲得したり、学会発表で海外に行ったり。これらは研究生活のモチベーションになると思いますので、そういった経験を積める研究室を見極めるのも、配属前の研究室見学や調査で大切なポイントになります。

また、他の項目(研究内容、人、運営方針)に関しては、別の記事で記載するので、そちらもご覧ください。

これらの一連の記事が研究室を決めるのに迷っている学生の皆さんの判断の一助となれば幸いです。

ご意見・ご指摘・質問・相談などある方はご気軽にコメントください。

では、また。obrigado.

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